近年の技術発展のスピードは目覚ましいものがあり、私たちの生活に大きな影響を与えています。
特に2020年からの新型コロナウイルスの世界的流行を機に、ビデオ会議システムなどが身近になってきたという方も多いのではないでしょうか?
技術発展と不動産との関連を取り上げている「テクノロジーがもたらす不動産業界の変革」(CBREテクノロジー調査 -2017)というオフィスに関する不動産レポートから、住宅地にも考え方を転換して今後の不動産の選び方や価値について考えていきたいと思います。
そのレポートの要点は「技術革新が進んでその活用の仕方が進めば、私たちの不動産の選び方が変わる」という点です。
不動産の「選び方」の変化
レポートのまとめとして、これからの不動産の選び方では『今後は立地が「すべて」とは限らない』という指摘が含められています。
◎技術発展によって縮小・拡大される会社の部門について
- 縮小:営業やバックオフィス部門
- 拡大:IT・アウトソーシング・オフショア(業務の一部分や全部を海外に委託・移管すること)部門
上記のような変化が生じるということでした。
オフィスの内部でも、個人が快適に活動できるようにカスタマイズしやすい環境の重要性が増すということも含められていました。
IT方面の必要に適う土地や建物が求められてきているという点を踏まえて、所有している不動産の選択や価値の向上を考える必要性が増した、という時代と言えそうですね。
住宅不動産への影響
このようなオフィスの不動産選定・価値観の変化は住宅不動産にも影響を与えるものでしょう。
通信環境の進化(4G・LTEから5Gの実現)やAIの進化・IOTの普及など家庭内での暮らし方を変える技術進化、自動運転技術などの移動手段の進化や家にいながら仕事ができる環境への転換は、職住地域の距離感や住宅に求める機能や設備のあり方を変えると要因となります。
とりわけ、ビデオ会議システムの活用や非対面型のビジネスへの転換、近年多発している自然災害は、私たちの生活や不動産への見方にも大きな影響を与えています。
「利便性の高い場所に居住したほうが便利で需要が高い」という価値観に変化が生じれば、それに基づいて付けられていた不動産の価格体系にも将来的に変化が生じる可能性があります。
今までも技術の発展などの社会的要因によって不動産の価値が変化してきたことはありますが、それが「短いスパンで起こる」といったことが考えられる状況になってきています。
需要の変化から不動産の利活用性を高める
住宅不動産・土地の価値は社会的な需要の変化によって変動することがあり、その社会的需要の変化は技術革新によって実現されることがある、という点を考えてきました。
不動産の価値とは無関係と思われるようなAIやIOT・ビデオ会議システムなどの普及が、私たちの身の回りにある不動産資産の価値や利活用の判断に長期的な影響を与えることが考えられるという点を意識しておきたいですね。
不動産の価値は絶対的なものではなく、社会の必要に応じて変動するというのが今回のポイントです。
「社会を変化させる力を持った様々な技術発展も不動産の価値と関係がある」という観点を持つのは、家族の大切な資産である不動産の今後を考える取り組みに繋がります。