相続税

意外と多い相続問題「隠し子」 相続トラブルにならないためには

相続で問題になるのが、被相続人の隠し子の存在が相続時に明らかになることです。結論から伝えると、隠し子は被相続人の「子ども」であると認められれば、相続する権利があります。

隠し子が「子ども」として認められて相続対象になる場合、認められずに相続対象外になるケースがあります。

隠し子が「子ども」として認められるケースに注意

被相続人の隠し子が、相続対象の「子ども」として認められるのは、以下のケースです。

  • 隠し子が認知されている
  • 母親が出産した子ども
  • 元妻との子ども

そして、隠し子が「子ども」として認められないのは、特別養子縁組に出されている例です。ただ、特別養子縁組に出される場合はまれだと言ってよいでしょう。

例えば、被相続人が離婚・再婚したとして、離婚相手も再婚して新しい家庭を持っていたとしても、自分の子どもであれば、相続対象です。新しい家庭を築いているかどうかは関係なく、血がつながっているか、認知されているかが重要です。

シングルマザーでも相手の男性に「子ども」と認知されていれば、相手の男性が亡くなった時、婚姻関係を結んでいなくても子どもには相続権が発生します。

隠し子というと、愛人に産ませた子どものイメージを強く持つ人もいますが、離婚した家庭やシングルマザー家庭にも関係してくるため、比較的多い事例です。

相続時に大変になる隠し子の問題

相続時に注意したいことは、隠し子の存在を無視して遺産相続の話を進めることはできないということです。連絡先や住所がわからなくてもなんとかして連絡を取り、遺産分割についての話し合いをしなくてはいけません。これが苦労することです。

遺産相続の手続きがいつまでかというと、相続税の申告・納付は、相続開始を知った翌日の10ヶ月以内で、そこに隠し子の存在があると話を早くまとめなくてはと焦る人も少なくありません。

相続人全員が合意した場合に遺産分割協議書を作成しますが、隠し子がいる場合、隠し子も子どもと同じ扱いとなり、遺産分割協議書へ署名や捺印が必要です。もし、相続人のうち、1人でも署名捺印がない場合、不備となり、無効になってしまいます。

トラブルになりやすい隠し子発覚の例

相続で問題になるよくある例としては、戸籍を調べたところ相続人がいる場合で被相続人が亡くなってから隠し子がいると知ると、連絡先もわからず話し合いも進めにくいです。中には話し合いをせずに遺産分割協議を先に進めて、隠し子への署名と捺印を求めてしまうケースもあります。

すると、隠し子側からは話し合いも参加させないで勝手に書類を作成されてしまったと悪いイメージがつき、遺産分割協議書の内容にも不信感を持ってしまいトラブルになってしまう例も。

また、遺産相続は仲がいい家族間でもなかなか話がまとまらないケースがあるほどなので、隠し子がいることでさらにややこしくなる場合があります。何をどうやって遺産分割するかの話し合いも決裂することがあります。

難しいのは預貯金だけでなく、株式や不動産があるケースで、不動産はいらないから預貯金だけほしいなど双方の要求が強くぶつかることもあります。

そんな時は第3者を入れて話をすることで、トラブルを避けることもでき、話をまとめることもできるため、弁護士や相続診断士などの専門家に相談することもひとつの案です。