財産を管理する仕組みの一つとして、今注目されている制度があります。
それが「家族信託」です。
成年後見人制度や遺言での死後の財産処分などがほかにありますが、それらとどう違うのでしょうか?
今回はこの家族信託について詳しく取り上げてみていきましょう。
家族信託とは?
家族信託とは「自分が財産を管理できなくなる状態になった時のために、家族に自分の財産の管理・処分ができる権限を与える制度」というものです。
委託者(財産の所有者)が受託者(財産管理を任される家族)に信託契約や遺言によって財産の管理・処分権限を与えることによって成立します。
受託者は、その財産の運用や管理・処分によって発生した利益を得る受益者にその利益を渡すことが役目です。
受託者と受益者は同一人物でも大丈夫で、信託契約は委託者が生きている間から利用を始められるという点も特徴的で、効果的に財産管理能力を失う時のリスク管理ができます。
家族信託を活用するメリット
それでは、この家族信託のメリットを見ていきましょう。
1:スムーズな財産管理・処分ができる
生前から信託契約を受託者と結ぶことができ、委託者の認知能力が低下してしまったとしても財産管理・処分をスムーズに移行させることが可能です。
認知症になるリスクは身近になっていますので、家族信託の内容を早めに固めてしまえばその対策になりますし、資産が凍結されて管理・処分に支障が生じるリスクも回避できます。
遺言や成年後見人などと比較しても信託契約を結ぶ手間の方がハードルが低いため、その面もメリットと捉えられます。
2:財産承継人の順位付けが可能
財産承継の際に、家族信託であれば財産を承継する人の順位を付けて契約することができます。
例えば、第一位の順位の承継人が認知能力の低下・突然の事故や病気で無くなった時に第二位の順位の人が財産を承継する…といった予防策を講じることができます。
遺言よりも手間が少なく準備をすることが可能ですので、この点もメリットと言えます。
3:二次相続の指定ができる
家族信託は二次相続以降の財産承継先を何代でも設定することが可能です。
例えば、ある会社の創業者が自分の息子(一次相続の受益者)を事業承継者とするほか、その次の世代(二次相続の受益者)も見据えて財産の受益者を設定することができます。
ただし、信託をした時から30年経過時の相続までの効力ですので注意が必要です。
4:倒産隔離機能がある
家族信託を含む信託契約では、信託財産は受託者の名義になるという特性のため、仮に委託者が信託財産に無関な多額の債務を背負ったとしてもその影響を受けずに済むというメリットもあります。
まとめ
相続対策の一環として、早くから家族信託を検討のカードの一つに持っておくのは賢い選択と言えます。
スムーズな財産の管理・処分を可能にする家族信託の内容やメリットをどう活用して相続対策ができるのか、ぜひとも札幌そうぞくクリニックにご相談下さい。