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親と同居・別居で異なる節税対策

贈与税で、「親と同居する」場合、親世帯に生活費負担してもらうと負担額は贈与税の対象外になります。
あまり知られていないかもしれませんが、かなり節税効果を生み出す方法です。

「親世帯が子世帯の家に同居する場合」の生活費

贈与税でよく例に出されるのが、「親世帯が子世帯の家に同居する場合」です。そして、この場合の生活費が問題です。

・生活費をもらわない
・生活費を親世帯からもらう
・生活費を親世帯、子世帯で別々に支払う

パターンとして大きく3つに分けられます。

トラブルを避けるため、生活費を別々に支払う例も人気ですが、実は「生活費を親世帯からもらう」ことは、贈与税の対象にはならず、節税効果を感じられます。

そして親世帯にお金が充分にある場合、亡くなってから贈与をするよりも、この「生活費を子世帯に渡す」ことで非課税枠を使えるため、節税になります。

相続税を節税するための「生活費の負担」

もし、親世帯と同居している場合、できれば生活費を負担してもらいましょう。

「親世帯と同居している場合」は、「親世帯に生活費を負担」してもらうことで、相続税を節税できます。子供や孫に収入があっても、親世帯が生活費を負担することに問題はありません。これは、生前贈与や相続税評価の低い財産に移すよりも簡単に効率的にできます。

贈与税がかかるのではないかと思われるものの、それが「生活費」として負担されている場合は贈与になりません。非課税枠となります。ただし、社会常識の範囲内であることが原則です。生活費として渡された金額を使い、投資信託や株を子供世帯が買うだと税務署からよく思われません。

「生活費」の対象ですが、税法で「通常必要なもの」と規定があります。

そして、生活費はいくら以上、いくら未満の規定はありません。何人家族でいくらとも決まりはありません。

例:
1ヶ月あたり10万円、1年間あたり120万円、2年間では240万円
1ヶ月あたり15万円、1年間あたり180万円、2年間では360万円
1ヶ月あたり20万円、1年間あたり240万円、2年間では480万円

極端な例では、
1ヶ月あたり100万円、1年間あたり2400万円、2年間では4800万円

本当に生活費がこれだけかかる場合、同居の親世帯から生活費としてもらっているようなら贈与税はかかりません。

1ヶ月以上いくらまでの決まりもなく、年間の上限もなく、同居している限りは、2年、3年……、と払ってもらう年数の上限もありません。そのため、生前贈与の形式を取るよりも贈与税の軽減を見込めます。

別居の場合は贈与税の暦年贈与がある

現在、贈与税では、「暦年贈与」と呼ばれる贈与税の非課税枠があります。

非課税枠は110万円。

贈与税の暦年贈与とは、1月1日~12月31日の期間で、年間の基礎控除額は110万円までなら非課税である制度。

12ヶ月で単純に割ると、110万円÷12=約91,666円

例えば、1ヶ月あたり9万円を支払ってもらう場合、年間では108万円の支払いになるため、贈与税はかかりません。

もし、別居で贈与税を免れたいのならば、年間110万円を超えなければ、贈与税について考えなくていいのです。

しかし、上で述べたように、「親と同居している場合」であれば「親からの生活費は贈与税がかからない」ため、上限金額を気にせずに払ってもらうことができます。

別居の場合は教育費も節税効果あり

別居の場合、暦年贈与のほか、非課税枠を利用した贈与方法があります。親から子へ、祖父母から孫へ、教育費を渡す場合に「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」を利用して節税することができます。

30歳未満の人であれば、父母、祖父母から教育費、習い事代、通学定期券代、留学費用をもらうことで、非課税制度を利用できます。この教育資金の一括贈与」では、大学入学金、授業料だけでなく、絵画教室の画用紙代や文房具費、ピアノやバイオリンなどの楽器、修学旅行費や学校給食費までも範囲です。

贈与が1度されると、余りは贈与税の課税対象になるほか、金融機関に「教育資金非課税申告書」を出さないといけない点はデメリットです。