相続が発生した時、相続人に認知症の人がいたら、遺産分割協議はどう進めればいいのか迷ってしまうかもしれません。ここでは、「成年後見人」の制度について紹介します。
認知症の人が相続人になると……
相続時、亡くなった人の財産は凍結されますが、遺産分割協議で誰が相続するかを決めれば、この財産凍結の解除ができます。ただし、遺産分割協議は、相続人全員の意見をまとめなくてはいけなく、1人でも相続人が認知症であると、その人の意思表示ができないため、遺産分割協議が整わなくなり、預金の解約、不動産の売却などができなくなってしまいます。
遺産分割協議を行うためには「成年後見制度」を選ぶ
亡くなった人の 相続人に認知症の人がいた場合、「成年後見制度」を利用するのがいいと言われています。この「成年後見制度」を利用することで、「成年後見人」が認知症の人に代わって財産を管理することになります。この「成年後見人」が本人代理として参加できるため、遺産分割協議ができます。また、本人の介護の契約、施設との契約も「成年後見人」が代理で行うことができ、仮に相続放棄を選ぶにしても「成年後見人」が手続きできます。
亡くなってから遺産分割協議を進めるため、「成年後見人」の選任をした場合は、手続きに1ヶ月~3ヶ月かかってしまいます。相続税申告の期限は10ヶ月なので間に合うものの、ギリギリに動くと焦ってしまうこともあるため、なるべく早く申し立ては行っておきたいところです。
「成年後見制度」には使いにくい部分もある
この「成年後見制度」ですが、使いにくい点もあり、それは「成年後見人」には専門家が選ばれることが多い点です。家庭裁判所により、「成年後見人」が選ばれるのですが、弁護士や司法書士といった士業が選ばれるケースが多いのです。弁護士が「成年後見人」に選ばれたら財産管理を弁護士などの専門家と行っていくことになります。
また、この「成年後見人」には報酬が発生し、目安としては月3万円ほど。しかもこの費用は途中でやめることができないので、認知症の人が亡くなるまで「成年後見人」の報酬が発生します。
「成年後見人」は「認知症の人の財産を守ること」が目的なので、必ずしも遺産分割協議がスムーズに進むとは限らず、他の相続人の意見に同調してくれるとは限りません。